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ホラーとファンタジーの美しい世界を紡ぐ作家、小野不由美のおすすめ単発作品トップ5

ホラーとファンタジーの美しい世界を紡ぐ作家、小野不由美のおすすめ単発作品トップ5
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独特の世界観を持つホラーファンタジーを得意とする作家小野不由美。
小野先生の代表作といえば、精緻に作り込まれた世界設定の上で展開するハイファンタジー長編「十二国記」や、若向けの読みやすい文体で紡がれるライトホラーシリーズ「ゴーストハント」、ある寒村を舞台に展開するサスペンスホラー「屍鬼」などが有名です。

しかし小野先生が書き上げた傑作はこれだけにあらず。
むしろシリーズモノ以外の単発作品こそ、独特の魅力を放つ名作が揃っています。
シリーズモノについてもいずれの機会で触れたいと思いますが、今回は単発作品についておすすめトップ5をご紹介します。

第5位 くらのかみ(2003年7月発売)


イントロダクション

「四人ゲーム」。
まっくらな部屋の四隅に四人の人間が立ち、肩を順番に叩きながら部屋をぐるぐる回るゲームだ。
とうぜん四人では成立しないはずのゲームを始めたところ、忽然と五人目が出現した!
でもみんな最初からいたとしか思えない顔ぶればかり。
―行者に祟られ座敷童子に守られているという古い豪壮な屋敷に、後継者選びのため親族一同が呼び集められたのだが、後継ぎの資格をもつ者の食事にのみ毒が入れられる事件や、さまざまな怪異が続出。
謎を解くべく急遽、少年探偵団が結成された。
もちろんメンバーの中には座敷童子も紛れこんでいるのだが…。

かんたん解説
小野先生らしいホラーとミステリーの織り交ざった独特の空気感が全体に漂っています。
「子供向けのホラー」として読みやすい文章作りがなされていますが、内容が結構複雑なので子供が一回読んだだけで理解できるかは少し疑問です。
少年たちの目線で謎解きをするという視点は、小野先生の作品としては新鮮でした。
また少年たちの中に座敷童子が紛れ込んでいるというのも緊張感があって楽しめました。

「人間ではない怪異が素知らぬ顔で仲間の中に紛れ込んでいる」という設定は、小野先生のご主人である綾辻行人先生の「Another」に通じるものがありますね。

第4位 営繕かるかや怪異譚(2014年12月発売)


イントロダクション

亡くなった叔母から受け継いだ町屋。
あるとき一人暮らしの私は気がつく。
ふだんまったく使わない奥座敷に通じる障子が、何度閉めても――開いている。(「奥庭より」)

かんたん解説
日本的な古い家屋にまつわる怪異と、それに触れる人々の日常を描いた短編がオムニバス形式で6話収録されています。
物語の流れは、古い家に様々な事情で引っ越してきた主人公が、家にまつわる怪異に触れ、それを解決するために終盤「営繕かるかや」が現れるというもの。
ホラーはホラーですが、漂う雰囲気が水墨画的というか、非常に落ち着いた作品です。
展開も静かなもので、人によってはそこを退屈に感じてしまうかもしれません。
小野先生の優しく、そして少し恐ろしい世界観にどっぷり浸かっていたい、という方にオススメです。

第3位 残穢(2012年7月発売)


イントロダクション

この家は、どこか可怪しい。
転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が…。
だから、人が居着かないのか。
何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、ある因縁が浮かび上がる。
かつて、ここでむかえた最期とは。
怨みを伴う死は「穢れ」となり、感染は拡大するというのだが―山本周五郎賞受賞、戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編!

かんたん解説
ドキュメンタリー形式で物語が進むという小野先生の才能の新たな一面が垣間見える作品となっています。
個人的には、他の著作をいくつか読み、小野不由美という作家の簡単なプロフィールを知った上で読まれることをオススメします。
というのも作中に登場する「私」が明らかに=小野不由美なんですよ。
このキャラクターを小野不由美と了解できるかどうかというの点が、作品にリアル感が漂うかに大きく影響します。
せっかくのドキュメンタリー形式ですからね、ノンフィクションとして楽しめるに越したことはないです。

同時発売した「鬼談百景」という作品があるのですが、かならずこちらを先に読んでから残穢を読まれることをオススメします。
「同時発売」というのにはやっぱり意味がありますからね。残穢を十二分に楽しむためには、必ず先に「鬼談百景」を!

あまりの面白さに徹夜で読み進めていたのですが、不運(むしろ幸運か?)にも仏間で独りで読んでいたため、普通の人の三倍は恐怖体験を味わうことになりました。
「鬼談百景」→「残穢」の順で、そして夜通し仏間で読書に耽ることをオススメしますw

第2位 東亰異聞(1994年4月発売)


イントロダクション

帝都・東亰、その誕生から二十九年。
夜が人のものであった時代は終わった。
人を突き落とし全身火だるまで姿を消す火炎魔人。
夜道で辻斬りの所業をはたらく闇御前。
さらには人魂売りやら首遣いだの魑魅魍魎が跋扈する街・東亰。
新聞記者の平河は、その奇怪な事件を追ううちに、鷹司公爵家のお家騒動に行き当たる…。
人の心に巣くう闇を妖しく濃密に描いて、官能美漂わせる伝奇ミステリ。
思い起こせば私が初めて手に取った小野不由美作品がこの東亰異聞でした。

かんたん解説
時代の過渡期であった明治を舞台に、怪しくも魅力的なキャラクターが織りなす怪異譚に仕上がっています。
独特の筆致からは、怪異の放つ現実感が恐ろしいほど伝わってきます。

本筋は、主人公が街を賑わす魑魅魍魎の正体に迫っていくというミステリなのですが、終盤衝撃の展開が読者を待ち受けています。
この終盤の展開をどう受け取るかで、恐らく作品の評価は大きく変わることになるでしょう。
個人的には少し唐突すぎる印象を受けたため、2位止まり。
急展開の勾配がもう少し緩やかであったならば、問答無用で1位になっていたと思います。
それほどまでに世界観の魅力が強い作品でした。

第1位 黒祠の島(2001年2月発売)


イントロダクション

「そう―ここは黒祠なのですよ」近代国家が存在を許さなかった“邪教”が伝わる、夜叉島。
式部剛は失踪した作家・葛木志保の姿を追い求め、その地に足を踏み入れた。
だが余所者を忌み嫌う住民は口を閉ざし、調査を妨害するのだった。
惨事の名残を留める廃屋。
神域で磔にされていた女。
島は、死の匂いに満ちていた。
闇を統べるのは何者なのか?
式部が最後に辿り着いた真実とは。

かんたん解説
因習が残る閉鎖的な島を舞台に、常に「なにか嫌だなぁ」という不穏な空気を感じながら物語が進みます。
「東亰異聞」で初めて小野不由美作品を手に取った私でしたが、「東亰」のオチに少し不満があって、その辺のバランスを解決したものが読みたいなーと思って手を出したのがキッカケ。
結果見事に私の嗜好とマッチしまして、小野不由美にどっぷりハマっていく推進剤になった作品です。
本筋はおどろおどろしい雰囲気で装飾されたミステリで、終盤にホラーファンタジーがやってくるという「東亰」と似たテイストを持っているのですが、本作はファンタジー成分の塩梅が素晴らしい。

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